妹が生まれて気になる様子。
面会時間が終わっても隙間からのぞき込んでいました。

シャドーの中に脱ぎ置かれた靴、椅子の並び、そして覗き込むために、つま先 立ちするような足もと…など「面会時間終了後」の状況と、少女(姉)の想いが しっかりと捉えられ、煌々と照らされた中にいる赤ん坊(妹)の、ハイライトと 対比がこの作品の妙味で、非常に巧く、おもしろいと思います。
それ故にきっと、ハイライト部とシャドー部の仕上げに、作者も苦労されたと 思います。
また、主題の部分は画面中央付近の、ほぼ横長の範囲に収まるので、 いっそ「それなら横位置にトリミングすれば..」と思われるかも知れませんが、 この縦画面の"間"にこそ、肝となる表現が潜んでいるので、この画面と苦労が この作品では欠かせず、この構図が正解なのだと思います。
ただタイトルは少し疑問で、写真を見る限りでは「...実感」よりは、生まれて きたばかりの妹に、無性に可愛いいという思いと、一種の"不思議さ"もあって、 まだ実感を持てていないような感じで、そこがいいのでは無いかと考えます。
直接触れあっていたり、ふたりの視線が合っているなど、ある種"ありふれた" 絵面にこそ「...実感」というタイトルがお似合いで、この作品に「...実感」と 言ってしまうと、その見かたを狭めてしまいかねないように思います。