隧道とういう特異な空間でのミニコンサート、演奏してくれたのはこの隧道にほど近い中学校の吹奏楽部でした。スコアの背表紙でも判るように「夢野中学校」、聴く者の心に響くまさに夢のステージでした。

シンメトリックな構図といい、空間の全てを捉えようという切り取り方といい、作品というよりは記録写真のようで、印象としては控えめで訴えることが弱いようにも感じます。
それでも作者の仰る通り、偶然なのか、譜面台には学校名から"夢の…(YUMENO)"とか、旧い隧道の味わい深い奥行き感など、じわじわとくる"仕掛け"には富んでいます。
ただこれだけでは"心つなぐ"とは言えないところですが、作者の切り取った瞬間が秀逸なのでしょう。
丁度トランペットのソロの部分でしょうか、必死に吹く二人に対して、皆が振り返ってその姿を見ている...その視線が、空間の遠近感と消失点が重なって、より一層この絵の中での一体感を盛り上げているように思えます。